社会保障審議会・介護給付費分科会は9日、認知症対応型共同生活介護(グループホーム)の2021年度介護報酬改定における報酬・基準の方向性について検討した。経営面での安定性の向上や、人材の有効活用を目的として、設置できるユニット数の弾力化やサテライト事業所の創設、夜勤職員配置の緩和などが論点となった。8月の事業者団体ヒアリングで日本認知症グループホーム協会が求めていた項目と重なるものも多い。グループホームの強みである、入居者の個別性を重視した手厚いケアとのバランスが問われることになり、委員からは慎重な検討を求める意見が出た項目もあった。【吉木ちひろ】
厚生労働省はこの日、グループホームを巡る論点として、▽緊急時短期利用の要件緩和▽医療ニーズへの対応強化▽ユニット数の弾力化と、サテライト型事業所の創設▽夜勤職員の配置要件の緩和▽計画作成担当者の配置要件の緩和(最大3ユニットまでの兼務)▽管理者交代時の研修の修了についての猶予措置▽事業所が運営推進会議と外部評価のいずれかを選択して評価を受ける仕組みの検討-を示した。
グループホームの緊急時短期利用については、18年度の報酬改定で「1事業所あたり1人まで」「7日を限度に」「個室で受け入れ可」などの一定の条件下において、定員を超えた利用者の受け入れが認められ、保険給付の対象となった。
しかし、同じ地域密着型サービスである(看護)小規模多機能型居宅介護では、パーティションや家具によってプライバシーが確保されたスペースがあれば、個室でなくても「短期利用居宅介護」の提供が可能になっている。また、7日を限度とする日数要件についても、「利用者家族の疾病等やむを得ない事情がある場合には14日以内」という例外規定が設けられている=表=。
そこで、厚労省は、グループホームの緊急時短期利用についても、これらの要件を看多機や小多機の基準とそろえるとともに、定員を超えて緊急利用者を受け入れる場合の制限人数についても、現行の「1事業所1人まで」から「1ユニット1人まで」に見直すことを提案した。
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