次期介護報酬改定に向けた社会保障審議会・介護給付費分科会の9月30日の議論では、介護職員の処遇改善をさらに推し進める意見が多く出た。また、介護職員が不足する中で、柔軟な人材配置を可能とするために、育児・介護などによる短時間勤務者の常勤換算の特例を認める案に、反対はなかった。【齋藤栄子】
この日の分科会では、分野の横断的テーマから「介護人材の確保・介護現場の革新」が俎上に載った。介護職員のさらなる処遇改善のため、2019年には「介護職員等特定処遇改善加算」(特定処遇改善加算)が創設されたが、介護関係職種の有効求人倍率は依然高く、次期改定においても介護職員の採用と定着は大きなテーマ。
賞与込み給与の推移を見ると、14年の全産業平均(役職者抜き)35.7万円に対し、介護職員は25.6万円と10.1万円の差があった。これが19年には8.5万円差と一定の改善は見られたが、採用と定着を促すためにはまだ不足だとの見方が強い。
「介護職員処遇改善加算」(処遇改善加算)は、20年3月で92.3%の事業所が取得したが、特定処遇改善加算は算定が始まった19年10月で53.8%、20年3月では59.4%と取得が進んでいない。理由として申請の煩雑さがあったため、加算の申請様式の簡素化として、▽両加算の様式を統一化し、エクセル形式で提供▽指定権者は原則、様式変更しない▽チェックリストを設定して添付書類を削減-などの見直しを行った。また、5区分ある処遇改善加算の上位区分の取得促進支援事業などにより、処遇改善加算(IV)・(V)の取得率は1%を切った。
厚生労働省はこれらの論点として、
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