【株式会社ジャパンコンサルタント アンド メディカルサービス代表取締役 森清光】
新型コロナウイルスの感染拡大が収まらない中、歴代最長総理の安倍晋三首相が8月28日に辞任する意向を表明致しました。在任期間内の医療行政への印象は、増え過ぎた社会保障費抑制が常に主題となり、診療報酬改定では、入院日数の厳格化、病床削減、在宅医療、地域包括ケアシステムの推進などが記憶に残ります。
改定率は、診療報酬本体はなんとかプラスで維持したものの、毎回薬価はやり玉に挙げられ、トータルではマイナス改定が続きました。各種自己負担の増額や2回の消費税増税の必要性についても社会保障費が理由とされてきましたが、病院の収益には大きなプラスの影響はなく、どの中小病院も経営状況は好転の兆しが見えない状況です。さらに追い打ちをかけるように、新型コロナウイルスの影響で経営は悪化し、借り入ればかりが増えています。
今後の病院経営環境は、医療費削減の政策に左右されつつ、中小病院では、政策に対応する体力が失われ、経営努力による独立経営が成り立たなくなる病院が増え続けると考えられます。そのような状況下で、M&A・事業継承・グループ参画などを視野に入れる動きも進んでおり、今回はそれらの選択肢を選ぶ理由と求められる病院像を紹介させていただきます。
■事業継承・グループ参画を選ぶ理由とは
病院の継承案件の多くは従来、院長先生の体力的な問題や病気などから親族間で行われるものでしたが、近年は第三者への継承が増えています。理由はさまざまですが、
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