【北海道介護福祉道場 あかい花代表 菊地雅洋】
緊急事態宣言が全ての都道府県で解除されて以降、介護事業者も徐々に通常営業に向けた準備を進めているだろう。しかし、新型コロナウイルスへの感染のリスクは、関連のワクチンが開発されるまで引き続き高い。感染が広がる恐れが常にあるため、介護事業者はできる限りの対策を取っておく必要がある。
通所サービスでは、従来のサービスメニューの見直しが求められる。厚生労働省が5月29日に発出した事務連絡「新型コロナウイルス感染症の感染拡大防止に配慮して通いの場等の取組を実施するための留意事項について」で求められていることは、介護給付の通所介護などにも当てはまる。
例えば、通いの場での取組における留意事項の「歌を控えるとともに、文字(紙)や録音した音源、マイク等を活用するなど、大きな声を出す機会を少なくすること」「息が荒くなるような運動は避けること」といった点は、通所介護の活動メニューの見直しとして具体化する必要がある。また、「座席の配置について、対面ではなく、横並びで座るなどの工夫を行うこと」は、食事の際の座席配置の見直しにつなげていくべきだ。
日常的な備えも、十分過ぎるほど続ける必要がある。職員がマスクを着けて対応することは習慣化されるだろうが、そのためにはマスクの常備が欠かせない。万が一に備えて、今後はある程度の量を倉庫などにストックしておくべきだ。これまで以上に消毒する必要があることから、消毒液など消耗品の在庫量も見直さなければならない。
ストックを増やすには従来よりも経費がかかるが、やむを得ない。その対策を取らなかったことによって、ひとたび感染症が事業所内に広がれば、その対応にかかる費用と失われる収益は、感染予防対策の費用と比べものにならないほど大きくなる。従って、決して削ることができない費用負担と考えざるを得ない。
■次期改定への議論で不可欠な視点とは
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