【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
2020年度診療報酬改定において、救急医療管理加算は加算1・2いずれも50点のプラス評価が行われるとともに、入院から3日以内の検査、手術・処置等の実施状況、入院時JCS等の状態に関する指標を摘要欄に記載することが求められることになった=図1=。点数については、いつ患者が来るか分からない忙しい救急医療に対する評価が行われたという見方ができる一方で、摘要欄への記載は負担増になり、働き方改革に逆行することへの手間賃という捉え方もできるだろう。
図1
厚労省「令和2年度診療報酬改定説明資料」より引用
急性期病院にとって、新入院患者の約半分を占める救急への対応は極めて重要であり、その報酬設定は病院の財務状況にも直結する。この4月、5月と、患者数減で大幅な減収に見舞われた病院にとって、救急は新入院患者数を獲得するための極めて重要なルートであり、いかなる対応をするかは病院経営の根幹に関わる問題でもある。
20年度改定では地域医療体制確保加算が新設されて、救急車2,000台以上を受け入れる病院が評価されたばかりだし、しばらくは紹介患者が戻ってこない恐れもあることから、より一層、救急に注力する病院が増えるはずである。
さらに、この秋・冬に新型コロナウイルスの第二波が襲来するのだとすれば、その際にも改めて救急医療の重要性が叫ばれ、その在り方は国民的な議論にもつながることだろう。
本稿では、急性期病院、特に二次救急医療機関にとっての重要な収入源である救急医療管理加算について、三次救急医療機関が算定可能な救命救急入院料1・3と軽症症例に対する算定状況を比較した上で、これからの救急医療の在り方に言及する。
救急医療管理加算についてはかねてより、「重症である」ことなどの基準が曖昧であり、地域による審査の事情から地域差があることが知られている。本連載でも、救急医療管理加算については何度も取り上げており、地域差があることをデータにより明らかにしてきた。
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次回配信は7月6日5:00を予定しています
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