新型コロナウイルスの感染拡大に伴う混乱の中、サービスの継続に当たった訪問介護事業所。厚生労働省による人員基準に関する緩和措置をはじめ、国によって事業者に対する支援策が数々講じられてきたが、十分な衛生材料も確保できない事業所が数多く存在するなど課題も多かった。CBnewsには、現場従事者が受けた差別被害の報告も寄せられている。さらには、感染の疑いがあってもPCR検査を受けることができずに自宅療養することになった職員が、そのまま離職してしまうなど、深刻な影響もうかがえた。こうした事例は、従来の事業構造や制度の問題点が鮮明となったものとも言えそうだ。【吉木ちひろ】
新型コロナウイルスの介護事業者への影響を巡っては、休業を余儀なくされたり利用控えに遭ったりした通所サービス事業所の減収について補填を求める声が目立った。利用者への同意取得など現場の負担は小さくないものの、6月に入って特例として、毎月一定の回数の範囲内で実質的な報酬の引き上げが認められたところだ。
全国介護事業者連盟が5月半ばに公表した調査結果では、経営への影響を「受けている」と回答した通所介護事業所は90.8%。一方、訪問介護事業所で同様の回答をしたのは47.1%だった。訪問介護事業所の2月時点と比較した4月の減収割合については「0-10%未満」と回答した事業所が54.8%、「10%以上20%未満」は32.2%、「20%以上40%未満」は10.3%となった。
しかし、46.1%が複数の事業所を持たず、法人全体の従業員数が19人以下である割合も45.9%を占めるなど、訪問介護事業所は中小企業が圧倒的に多い(2018年度介護労働実態調査)。
経営基盤の弱い中小企業の資金繰りを支援するため、
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