【小濱介護経営事務所 代表 小濱道博】
3月に国会へ提出された改正介護保険法案を含む、「地域共生社会の実現のための社会福祉法等の一部を改正する法律案」は、5月12日の衆院本会議で審議入りした。13日より、衆院厚生労働委員会での審議が始まっている。今後は、衆院と参院の両院で審議され、両院で可決されることで6月には成立すると思われる。すでに、その改正介護保険法案等の全文は判明している。同時に野党からは、「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」が提出されて、さらなる処遇改善も議題に上がった。
「介護・障害福祉従事者の人材確保に関する特別措置法案」の内容は、「介護・障害福祉従事者処遇改善助成金」として、介護・障害福祉従事者のみを対象に、平均して1人当たり月額1万円賃金を上昇させる。「介護・障害福祉従事者等処遇改善特別助成金」として、介護・障害福祉従事者およびその他の従業者も対象に、平均して1人当たり月額6,000円賃金を上昇させる。助成金の額は、「必要な財源を確保しつつ段階的に引き上げる」としている。この法案は、野党の提出ということで、先行きは不透明だが、夏から始まる介護報酬改定の審議論点とも目されており、その審議内容が注目される。
介護報酬改定の審議は、改正介護保険法が成立した直後から、社会保障審議会・介護給付費分科会で本格的に始まる。それは、2020年7月以降であろう。そのような中で、今回のコロナ禍で出された臨時的な対策対応が、コロナ禍の終息以降も継続されるか否かも注目に値する。11年の東日本大震災の時に設けられた特別措置は、災害時の対応策として今に引き継がれている。今回のコロナ禍においてもこれが適用されてきた。
しかし、今回はさらに踏み込んだ内容であり、介護報酬算定についても過去に例がないほど柔軟な措置が取られている。特に会議の開催等において、一定の場所に関係者が集うのではなく、電話、メール、テレビ会議などでの開催を介護や医療で容認した。それは、国が進めるICT化にも直結する。このあたりが、今後の介護報酬の算定要件の中で、どこまで緩和されるかが大きな注目点である。実際に、事業所間の連絡で、ZOOMやチャットワークなどを活用することが非常に多くなっているのではないか。
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