【株式会社メディチュア 代表取締役 渡辺優】
■オンライン診療の環境変化
4月7日の閣議決定を受け、4月10日の事務連絡「新型コロナウイルス感染症の拡大に際しての電話や情報通信機器を用いた診療等の時限的・特例的な取扱いについて」により、感染拡大防止の非常時対応として、初診からのオンライン診療の実施が、時限的ではあるが可能となった。このことはCBnewsでも多くの記事(下記はその一部)が発信されただけでなく、テレビや一般紙などのマスコミも数多く取り上げた。
オンライン初診「感染拡大期に限り容認」で決着
“電話等での初診料”214点、受診歴ない患者も
オンライン初診、受診歴の有無にかかわらず実施可能
オンライン診療料、「算定回数1割以下」の基準を撤廃
保険診療におけるオンライン診療を理解する上で、まずは2018年度の診療報酬改定で新設されたオンライン診療料を振り返る。
図 オンライン診療料の18年6月時点の届出・算定状況
中央社会保険医療協議会・総会 19年9月11日開催 資料「平成30年度診療報酬改定後の算定状況等について」より引用
20年度改定に向けた中央社会保険医療協議会で示された資料=図=では、改定直後の18年6月時点の届出医療機関数と算定回数が示された。算定回数65回が多いか少ないかは受け手次第のところかもしれないが、病院か診療所か、診療所であれば診療科はどこか、「一般医療」か「後期医療」かなどについて、細かく内訳を見た=グラフ1=。
グラフ1 オンライン診療料65回の内訳
社会医療診療行為別統計(18年度) 診療科などの区分は基資料のまま
診療所の件数が多く、病院は少ないといった情報は得られる。ただ、さすがにこの件数だけで、オンライン診療の状況を把握したとは言い難い。
算定回数が65回しかなかったことは少なからず影響したと理解しているが、20年度改定では、オンライン診療開始までの事前の対面診療の必要期間の短縮や、緊急時対応30分以内の撤廃などの算定要件が緩和された。
この20年度改定に加え、冒頭に挙げた4月10日の事務連絡により、医療提供側の環境が大きく変化している。さらに、緊急事態宣言下で「Stay Home」が叫ばれている中、患者側も医療機関の受診行動が変化している。そこで、これらの環境変化のうち、前者の医療提供側の環境変化について、データから見てみたい。
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次回配信は5月27日5:00を予定しています
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