【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
2020年度診療報酬改定の重要論点の1つに、急性期患者の割合を何で評価し、その基準値をどう設定するかが挙げられる。急性期患者の割合については、中長期的には別の評価指標を模索していくものの、今回は引き続き「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)を用いることになり、急性期一般入院料1では、看護必要度Iで31%、同IIで29%となる。
20年度診療報酬改定の主な変更点として、以下の6つが挙げられる。
まず1つ目は、18年度診療報酬改定で導入されたいわゆる「基準(2)」※が除外された。「B14」(診療・療養上の指示が通じる)と「B15」(危険行動)に該当する認知症やせん妄の患者については、A項目は1点でよいとされた。
連載第95回でB項目を手厚く評価するのは、急性期患者の評価としては妥当ではないと主張したが、その一部が実現する形だ。
基準(2)に該当する患者で、A項目の該当が最も多いのが、心電図モニターの管理だ。ある意味、モニターさえ付けてしまえば、基準を満たせることには違和感があるし、これらの患者の約半分は1日当たりの資源投入量がゼロであることが示され、今回改定の対応は当然といえるだろう=グラフ1=。
看護必要度という点では、「認知症・せん妄患者には、看護師のマンパワーが注がれている」という意見もあるだろうが、今回改定では、認知症ケア加算を3区分にし、要件を緩和し、点数も引き上げたし、せん妄ハイリスク患者ケア加算(100 点)も新設するなど、加算で評価することになった。
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次回配信は3月16日5:00を予定しています
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