【法律事務所おかげさま 代表弁護士 外岡潤】
「表に出ろ!」「ぶん殴ってやる」…いきなり驚かせてしまいましたが、決して映画やドラマのような遠い世界の話ではありません。特別養護老人ホームやデイサービスなどの介護現場で、実際に「利用者家族」から職員に向けて発せられた言葉です。
筆者は、介護・障害の現場で起きるトラブル解決を専門とする弁護士ですが、全国各地でこのような物騒な事例を見聞きしますし、施設の代理人として直接、利用者家族と向き合うこともあります。職員が不足している中、このようなトラブルで職員がうつ病になり、退職でもされると運営上、大打撃です。一方で、犯罪相当のハラスメントや悪質クレームは、利用者側の権利意識の高まりとともに、確実に増えている印象です。
こうした利用者あるいはその家族によるどう喝や性的な言動、職員の人格を否定し精神的苦痛を与えるような行為を、本稿では総称して「ケアハラスメント」と定義します。以降3回にわたり、ケアハラスメントから現場職員を守る方法について解説します。
第1回は、ケアハラスメントに対する心構え、その種類や近時の傾向、基本的な対処法をお伝えします。
■まず自分を守り、そしてご利用者を守る!
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