【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
地域包括ケア病棟は2014年度診療報酬改定で評価されてから一貫して増加してきた=表1=。地域ニーズに合った医療が提供できることに加え、点数設定が魅力的で、経営の安定につながることが、ここまで増加した主な理由である=グラフ1=。
さらに、今回の20年度改定で「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)の重症者の定義が変わり、「A1点・B3点」の基準(2)※が削除される。さらに、基準値も比較的高めの設定で、高齢者が多い内科系の病院には激震となる可能性もある。より一層、地域包括ケア病棟は増えていくだろう。
※1月29日の中央社会保険医療協議会(中医協)・総会では、看護必要度の「B14またはB15に該当する患者であって、A得点が1点以上かつB得点が3点以上」の基準を削除することが了承された。
看護必要度の基準、「A1点・B3点」削除
表1 地域包括ケア病棟入院料・地域包括ケア入院医療管理料の届出状況
グラフ1 地域包括ケア病棟・病室を届け出ている理由 クリックで拡大
2019年度第2回入院医療等の調査・評価分科会(2019年6月7日)資料より
ただ、地域包括ケア病棟は、特に大病院の「入棟元」が、自院の急性期病棟が多く、本来の役割が果たせていないという課題もあった=表2=。
今回は、20年度改定での地域包括ケア病棟の主な変更点から読み取れる当該病棟に求められる診療機能について、私見を交えて言及する。
表2 入棟元・退棟先の割合(許可病床別)
2019年度第9回入院医療等の調査・評価分科会(2019年10月3日)資料より
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■20年度改定における地ケア病棟4つの変更点
20年度改定では以下の4つが主な変更点である。
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次回配信は2月17日5:00を予定しています
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