【横浜市立大大学院国際マネジメント研究科 准教授 黒木淳】
早くも2020年になり、1カ月が過ぎようとしている。大学では卒業論文報告会、修士論文報告会などを終えた。
直近では、新型コロナウイルスが話題になっている。緊急を要する事態において、情報を周知することがいかに大事か、一方で個人のプライバシーをどのように守るのか、多くの方が課題に思うことであろう。日々流れてくる情報に対して、何が真実であるのか、どこまで自分自身のこととして懸念を持つべきであるのか、判断することは非常に難しい。
ここで考えなければならないことは、どのように動くことが選択肢として考えられて、またどのような情報があればその選択肢を増やすことができるかについてである。
新型コロナウイルスの例で組織の対応を考えた場合、個人情報とプライバシーに配慮しながら国民の健康を守るという最大限のパフォーマンスを上げること、プロセスの見直しや医療提供者の健康保護の観点からリスク管理に関することが考えられる。いずれの場合も、顧客、ビジネスプロセス、従業員などの非財務情報が、人の意思決定や行動を変えると想定できる。
今回は病院経営管理者として、非財務情報を探すことについて述べる。組織内において非財務情報を使う目的は、顧客からのフィードバックによって従業員のパフォーマンスを上げること、将来を予想してビジネスプロセスを変えることの2点に集約されるだろう。
企業では、パフォーマンスに財務情報が重視されるため、財務と非財務の各情報の関係性を考察することが大事になるが、患者の人命やQOLの向上に関わる病院経営においては、財務パフォーマンスに配慮しながら、最終的に患者の治癒や診療プロセスにつなげることが重視される。
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