中央社会保険医療協議会・総会が29日開かれ、厚生労働省は、救急医療の実績が一定以上あり、医師など医療従事者の労務管理を適切に行っている病院が算定できる地域医療体制確保加算を、2020年度の診療報酬改定で新設することを提案した。長時間労働の医師がいる医療機関が21年度以降に作る医師労働時間短縮計画(時短計画)に先行し、負担軽減と処遇改善を診療報酬で後押しする。【兼松昭夫】
厚労省はこの日、20年度の診療報酬改定で対応する項目ごとの具体案を盛り込んだ個別改定項目案を出し、点数配分を巡る中医協での議論は大詰めの段階に入った。20年度の改定では、医療従事者の負担軽減と医師の働き方改革の推進が重点課題とされ、地域医療体制確保加算の新設が具体案の一つ。
厚労省案によると、救急搬送の受け入れが年2,000件以上の病院を新たな加算で評価する。同省は、勤務医の負担軽減や処遇改善の要件に、▽勤務状況を把握し改善策などを提言する責任者を配置▽勤務時間・当直を含む夜間の勤務状況を把握▽役割分担を推進するための多職種による委員会・会議を設置し、勤務医の負担軽減・処遇改善計画を作成―などを挙げた。ただ、加算の点数は示さなかった。
勤務医の負担軽減・処遇改善計画には、静脈採血の実施など医師とほかの職種との役割分担を進めたり、連続当直を行わない勤務体制や次の勤務が始まるまでの休息(勤務間インターバル)を確保したりするための具体策を書き込み、定期的に見直す。意見交換では、それへの反対は出なかった。
(残り398字 / 全1037字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】