【合同会社アグリハート 代表社員 木村佳晶】
介護保険という公的制度の枠組み内で、通所介護事業所を安定して運営していくためには、情報の取得と解釈がますます大きなファクターとなる。現在は、2021年度改正に向けたさまざまな議論が進んでおり、それらの情報から方向性を探りつつ、事業所の向かうべき方向を示していかなくてはならない。
1月17日に開催された全国厚生労働関係部局長会議の議題は、(1)次期介護保険制度改正(2)保険者機能強化推進交付金等の方向性(3)地域医療介護総合確保基金の次年度予算(案)(4)介護サービス現場の改善(ロボット・ICTの活用推進等)(5)認知症施策の推進(6)次年度予算の概要-についてとなっている。
通所介護事業所の運営に今後、大きく関わってくることが予想される、(2)と(3)に注目したい。これらの内容については、方向性と対策などを別に記事化できればと考えている。
さて、さまざまな発表資料を整理して見ていると、以前は活発に議論されていた「通所介護からの軽度者外し」と言われるような、要介護1、2の認定者へのサービス提供制限のような施策は、今回の改正では見送られるだろう。しかしながら、24年度改正でこれらの議論が再び持ち上がり、施行される可能性を事業所運営者としては想定しておかなくてはならない。
公費である保険サービスを、要介護度の程度で利用制限することや、サービスの質を変えることは本質的ではないと考えるが、参考までに、軽度者と言われる対象者に対してどのような関わり方、方針、サービス提供が望まれるかを記載する。
まず、要介護度の軽い利用者向けにサービス提供をする際に盛り込みたい要素は、利用する本人が納得感を得られるサービスであることだ。つまり、よりプライオリティが高く、個別化され、ニーズにマッチしたサービスを提供すると、本人の自己効力感や達成感を醸成しやすく、自立支援の効果向上と継続的なサービス利用につながる傾向が高い。
それでは、より個別性を高めてニーズにマッチしたサービスを提供するために必要なことは何かというと、スタッフの教育を積み上げ、アセスメントにより多くの時間と密度によって、本当に解決しなくてはならない課題(ニーズ)を深掘りしていくことである。さらにもう一つ挙げると、最新のICT機器などを導入し、できる限りさまざまな指標データを数値化(定量化)し、現場業務の自動化を推進して生産性を高めることである。
(残り1506字 / 全2539字)
次回配信は2月20日5:00を予定しています
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】