【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
2018年度診療報酬改定では、地域一般入院基本料の病棟、地域包括ケア病棟、回復期リハビリテーション病棟(以下、回復期リハ病棟)が再編・統合の対象とされたものの、各入院料が1つになったわけではない=図=。しかし、これらの病棟は、地域医療構想で不足すると見込まれる回復期機能の中心を担うため注目に値するし、20年度診療報酬改定においてさらに今後の方向性が示されていくだろう。実際に地域包括ケア病棟も回復期リハ病棟も増加傾向にあり=グラフ1、2=、今後も地域で不足する機能であるならば、充実が期待されるところだ。ただ、回復期機能を担うのだとしても、疾患の縛りやアウトカム評価の有無などもあり、いずれの届け出を行うべきか迷う医療機関もあるだろう。
今回は、回復期リハ病棟1万3201人、地域包括ケア病棟5万2746人について、17年4月から19年3月までデータを用いて実態に迫り、それぞれの病棟機能を明らかにし、いずれの届け出が望ましいかの視点を提供する。
図 2018年度診療報酬改定の入院医療の評価体系と主な機能
平成30年度診療報酬改定説明会資料より
グラフ1 入院料別の届出施設数の推移(地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟)クリックで拡大
中央社会保険医療協議会総会(2019年9月11日)資料より
グラフ2 入院料別の届出病床数の推移(地域包括ケア病棟、回復期リハ病棟)クリックで拡大
中央社会保険医療協議会総会(2019年9月11日)資料より
表1は各病棟の入院診療単価と平均在院日数を見たものであり、一見すると回復期リハ病棟の入院診療単価が高く、平均在院日数が長いことから、高稼働での運営が可能となり、収益性に優れているように捉えられる。ただ、入院診療単価の内訳を見ると、回復期リハ病棟は入院料が少なく、その他出来高収入の中心を占めているリハビリテーション料で稼ぐ仕組みになっている。地域包括ケア病棟ではリハビリテーションを実施する場合も包括になってしまうが、それほどリハビリの提供単位数が多くない場合には、地域包括ケア病棟を届け出た方が有利になることを意味するだろう。
表1 回復期リハ病棟・地域包括ケア病棟 入院診療単価と平均在院日数
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次回配信は12月23日5:00を予定しています
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