【横浜市立大大学院国際マネジメント研究科 准教授 黒木淳】
皆さんは、国の予算と決算に関する情報を見たことがあるだろうか。今、「桜を見る会」が国会で話題になっているが、なぜ当該イベントが話題になっているかといえば、国の予算編成の時期でもあるためだろう。
国の一般会計予算の総額は、2年連続で100兆円を超える公算が大きくなっており、その何倍もの国債の額を聞くと不安になる。国債費を除いて、予算の拠出が大きいものは、医療などの社会保障費、都道府県市町村への地方交付税交付金、公共事業、大学や科学振興に関する費用の順に続く。このように、ただ単純に予算の規模だけを見るのではなく、内訳も総合的に見ていくことが大事である。
前回は、財務情報の加工に当たり、財務情報の測定や範囲、表示に関する「基準」の重要性について説明したが、今回はそれらの基準によって作成された財務情報をどのように加工し、発信していくべきなのかについて説明する。
病院の財務情報は、一時点の持ち物や、その持ち物に対して要した借入状況を示す貸借対照表、1年間の経営成績を示す損益計算書、そして1年間の現金の入りと出を示すキャッシュフロー計算書の3つがあり、病院会計準則や医療法人会計基準に基づいて作成されている。今回は特に、1年間の経営成績を示す損益計算書に絞り、注目すべきポイントについて解説する。
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