【一般社団法人リエゾン地域福祉研究所 代表理事 丸山法子】
高齢化のピークである2040年に向けて、介護事業所に期待されている役割はますます幅広くなり、介護保険外サービスや大規模化の動きなど、令和時代の新たな動きが加速度を上げて始まりました。今回の新シリーズは、その中でも「介護事業所の強みを活かせる地域貢献のお話を」と思いましたが、その前に、唐突ですがお金の話をします。なぜなら、地域貢献なんて正直、「お金に余裕なんてない」と多くの経営者が感じていて、そんなきれいごとなんて「無理、無理」っていうお考えをお持ちのようだからです。
法人経営の難しさは、まさにお金という資産の使い方にあります。あなたの事業所のリーダーがどのようなお金の使い方をしているか、ご存じですか? 実は、経営者だけでなく現場スタッフのリーダーの金銭感覚が、少なからず影響しています。言い換えると、「お金の概念」と現場の仕事をうまくつなぎ合わせることができれば、収益改善にまつわる問題解決の糸口が分かるかもしれません。
■過ぎた節約はやる気をそぐ
介護事業の収益を上げる方法は、3つです。(1)売り上げを増やす=稼働率を上げる・加算を取って単価を上げる(2)変動費を削減する=仕入れを減らす(3)固定費を下げる=人件費を削減する・家賃などを節約する-ですね。当たり前な話で申し訳ないです。ただ、介護保険上、介護報酬というお値段表と、定員という上限が決まっている以上、売り上げの天井を突き破ることは難しい。同時に、コストの値上がり、人件費のベースアップ、採用にかかる経費、さらにコンプライアンスにかける経費や経年劣化に伴う修繕費などの出費が続くと、どこを節約しようかと知恵を絞ってしまいます。
しかし、過ぎた節約は人のやる気をそぐばかりか、事故を引き起こしたりもしますので、適正なバランスを取るために慎重でなければなりません。そんなことを考えると、報酬改定ごとに右往左往させられる現実から、なんとか脱却したいと逃げ腰になったり、慎重のあまり身動きが取れなかったりしがちです。であれば、一見収益の上げにくい介護事業経営において、今までとは違った視点でお金の使い方を考えてみませんか。
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