【横浜市立大大学院国際マネジメント研究科 准教授 黒木淳】
学生にとって8-9月は夏休みだが、大学教員にとっては研究活動を活発にできる時期である。私事ではあるが、8月にサンフランシスコ、サンディエゴ、そして9月は北京に出向き、学会報告や招待講演、施設を見学するなどの機会をたくさんいただいた。
サンフランシスコやサンディエゴでは、会計系の学会での研究報告だけでなく、ヘルスデータの活用やAI導入の最前線を確認することができた。また、北京では各国間で財政運営上、課題となっている事柄、特に業績に基づく予算の在り方について、日本の実情を話すとともに、各国の取り組み状況について学ぶことができ、感銘を受けた。
写真は訪問したGoogle本社
米国や中国に対しては、日本にはないインフラ面や経済成長面での強みを感じたが、日本でしかできないことは何かと改めて考える機会になった。日本の課題を伝える際、65歳以上人口割合が世界1位となっている日本で起こる経験は、各国も将来確実に抱える課題であると実感した。日本の病院や福祉施設の在り方に、今後さらに注目が集まることが予想される。
さて、以上の海外での場面で、いずれも課題として挙がっていたのは、何のデータを、どのように測定し、測定されたデータをどのように活用するかについてである。今回から3回、テーマとして「財務」に関するデータを取り上げるが、一般的な会計学でよく用いられる会計理論である「基礎的会計理論に関する報告書」(通称ASOBAT)から、「特定の企業目的を達するために、経済的事情を識別し、測定され、伝達されたデータ」を財務の定義とする。
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次回配信は10月25日5:00の予定です
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