【合同会社アグリハート 代表社員 木村佳晶】
2019年2月25日開催の第75回社会保障審議会介護保険部会から、第8期介護保険事業計画について、以下の5つについて横断的な議論が始まっていると前回述べた。これらの方向性を踏まえて、特に小規模や通常規模で単独型店舗、または比較的少ない店舗数を展開している通所介護事業者に向けて、実現可能な対策案を提示したい。
1.介護予防・健康づくりの推進(健康寿命の延伸)
2.保険者機能の強化(地域保険としての地域のつながり機能・マネジメント機能の強化)
3.地域包括ケアシステムの推進(多様なニーズに対応した介護の提供・整備)
4.認知症「共生」・「予防」の推進
5.持続可能な制度の再構築・介護現場の革新
17年度厚生労働省介護給付費等実態調査の概況からは、通所介護事業所総数4万3381事業所のうち、小規模事業所は2万73事業所となっており、16年度の同調査と比較し前年度比97%となった。15年度の2万3712事業所と比較すると約85%となる。
これには幾つかの要因が考えられるが、一つは小規模型から通常規模型への移行である。これは、通常規模型の事業所数が微増していることからも推測できる。もう一つは事業所運営組織の倒産である。「老人福祉・介護事業」の18年の倒産件数は106件で、そのうち通所・短期入所介護事業所は41件となり、全体の4割弱を占める(東京商工リサーチ調べ)。
■21年度介護報酬改定に向けた7つの対策
このような状況の中、次期介護報酬改定に向けて、通所介護事業所、特に小規模の事業所はどういった対策が必要だろうか。国が3年ごとに介護保険計画見直しや報酬改定をするたびに、通所介護事業所の役割の強化や機能向上を求めてきている。それは、地域に暮らす要介護者に対する「心身機能の維持向上」「生活機能の維持向上」「社会参加の促進」が期待できる地域生活のインフラの拠点として、「機能してもらいたい」というメッセージである。
国が求める意図を把握し地域包括ケアの重要な拠点となるべく、地域の人々に必要とされる事業所になるためには何が必要なのか。以下の7つの対策を事業計画に盛り込むことで、解決への可能性が出てくると考えられる。
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