【株式会社ジャパンコンサルタント アンド メディカルサービス代表取締役 森清光】
今、全国の医療機関の収益は年間平均5%前後といわれており、経営に苦しみ、赤字に陥って改善できない病院も多く見られています。一方で、黒字経営や、堅実な経営をしている病院においても、ちょっとした不祥事や職員の集団退職、モンスターペイシェント、風評被害などから、一気に経営悪化に陥るリスクがある危険な時代です。今月から医療機関の危機管理に関する情報をお伝えしたいと思います。
■口コミ情報の多くが患者と職員のコミュニケーションについて
例えば、飲食店で頻発しているアルバイトやパート従業員による倫理観の欠けた行動が世間を騒がせ、経営に大きな損失を与えています。さらに、ソーシャルネットワークでの過激な投稿の広まりにより、従業員教育も患者対応を注意する必要性が高くなりました。
医療機関も決して他人事ではありません。一部ネットの口コミ情報では、職員に対する厳しい指摘、病院の設備面、運営、医師の評価などが細かく掲載され、多くの患者がそれを参考にしている時代です。特に、最も多く書き込まれているのが、受付や医師の態度など、患者と職員がコミュニケーションをする場面です。
私がお手伝いした複数の病院は、受付事務、看護師、医師いずれも接客マニュアルがないか、曖昧なメモ程度しかない状態でした。よく聞かれるような質問や患者対応も、それぞれの感覚に頼っていることが多く、患者サービスの品質にばらつきが見受けられます。
上記を踏まえて今回は、日本航空大阪空港支店で客室乗務室室長を経験し、約450人の部下の教育・品質・人事などの管理業務を行い、退職後は、接客プロフェッショナルとして講演やコンサルティングをしている中村幸子氏に、危機管理を考える上で必要な患者への接客について話を聞きました。その内容から、患者が病院の接客に求めること、接客マネジメントの在り方、モンスター患者への対応策の3点についてご紹介したいと思います。
※中村氏は、8月30日(金)18:00から東京・浜松町で開催する森氏プロデュースによるCBnewsセミナー「女性を最大限に活用するために 病院経営者と管理職が知っておきたいこと」で講演されます。
■患者が病院の接客に求めていること
ご想像の通り、接客時間が長い飛行機の中では乗客とCA(客室乗務員)の間にトラブルは付き物です。その多くは気持ちの行き違い、つまり、乗客の求めることが理解できていないが故に発生し、これをカバーできるのは「理解力」「状況判断力」「経験」、そして「ゆとり」です。機内では、「心地よく」感じる対応や言葉遣いが瞬時の判断で求められ、それができて一人前、プロフェッショナルと呼ばれます。
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