【一般社団法人リエゾン地域福祉研究所 代表理事 丸山法子】
「まるで高速道路を猛スピードで走っているみたい。次から次へと、経営も楽じゃないですね」と言ったその社長は、先代から事業承継をしたばかりの二代目30歳。ジャニーズにいそうなイケメン社長は、「いつかは父から事業を引き継がなければと思っていましたが、まだ先の話だと思っていました」と、淡々と話します。
その優しい物腰とまぶしい若さとは対照的に、スタッフ60人の平均年齢は56歳と高めです。お互いに足腰をいたわり合いながら、5年後には半分が定年を迎えます。先月なんとか都合をつけて削減した賞与の次は、有給休暇を年5日完全取得させることと、時間外労働を削減するための答えを探すのに手いっぱいで、定年に伴うスタッフ確保にまで手が届いていません。
多くの事業所でも同様に、労働環境改善のための課題が次々とやって来て、労務管理が格段に増えたのではないでしょうか。
■法人経営の「最適解」を導き出そう
経営判断のために使える時間は限られています。介護サービスの質の向上や収益に力を注ぐことと同様に、スタッフのマネジメント業務は今や必須です。どんな小さな事業所においても、独自の経営方針が求められます。この10月の介護報酬改定を含めた「社会保障制度改革」や「働き方改革」など、「改革」と名の付く動きは「働き手」にベクトルが向けられています。法人経営の難易度が、「年々上がっている」という声をよく耳にしますが、どのように対策を立てるか悩ましい課題です。正解は分からないにせよ、「最適解」を導き出すことが大切です。
そんな中、先の事業所に「あなたの事業所を買いたい」という話が。さて、若社長はどうしたのでしょうか。
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