【株式会社メディサイト 代表取締役、MBA 松村眞吾】
■「院長力」が職員にエネルギーを与える
前回は、診療所経営の方向性について述べた。超高齢化、人口減少時代における「かかりつけ」医機能のこと、在宅医療の取り組み、外来診療における留意点などについて、ご理解いただけただろうか。今回は、診療所経営を向上させるために必要なことを考えたい。
診療所経営で何が必要となるのだろうか。筆者は事務長経験や診療所の顧問としての観察、大学における医療経営教育の経験などから幾つかの知見を得た。現場で悩む院長や院長夫人、診療所でも最近増えつつある事務長らは、診療所経営で何が必要なのかを試行錯誤している。組織規模の小さな、かつ医療という非営利事業体において、最も重要なのは「院長力」である。
理念、地域医療における明確な事業コンセプト。その具体化を可能にするのは院長(理事長)をおいてほかにない。看護師が引っ張る例もあるし、事務長が介護事業をけん引している例も知っているが、医師免許を持っていることは大きい。本丸の医療事業(医業)は医師にしかできないし、医師が方向を示し動いてこそ、診療所組織は動く。オーナーが別にいるいわゆる雇われ院長でも、「院長力」こそが職員らにとっても、意欲的に働こうとするエネルギー源であると知っておきたい。
地域医療ニーズをよく知った上で、「自分に何ができるのか」を考え抜いて行動してほしい。具体的な実践策はブレーンとなる存在が考えてもいいが、診療所経営で現状を突破する力をもたらすのは院長の考える力、実践する力である。「起業者」たる院長なら、その力はあるはずだ。
■等身大のコミュニケーションを
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