【吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科 教授 京極真】
Q 先日、中途採用で入った医療者が脈絡ない言動をするので困っています。例えば、夕方になってカルテを書いていると「ちょっと来ていただけますか」と言うので付いて行くと、「私、手相が見られるので占ってあげます!」などと言ってきます。突然の出来事で困惑していると、勝手に占いを始めます。その他にも、ちょっと手が空く時間にストレッチを始めたり、昼休憩中に前夜に見た夢について延々と話し始めたりします。悪意はなさそうなんですが、ちょっとどう対応したらよいか分かりません。どうしたらよいですか?
こうしたケースではまず、「役割の明確化」に取り組んでみてください。役割は立場に応じて期待される言動のルールです。それが明瞭になることによって、文脈の中で首尾一貫した言動へとシフトチェンジする可能性があります。
■脈絡ない言動には役割を明確化するとよい件
結論から言うと、脈絡ない言動で困っているならば、役割を明確にするとよいと考えられます。理由は、それによってやるべきことが明確になって、文脈の中で言動に首尾一貫性をもたせやすくなるからです。
具体的にお話しすると、とある方は暇さえあればスタッフルームで雑談していました。他のスタッフが忙しそうにしていても、1人なんだか暇そうにしていたのです。そこで、上司は、点滴・ドレーンの管理など具体的にやるべきことを役割として明確化しました。結果として、時々雑談が目につくものの、以前に比べて医療者として期待される言動ができるようになりました。
このように、上記の事例も役割を明確化することによって改善できる可能性があると思われます。脈絡のない言動は、手持ち無沙汰になった時に起こっているように見えるからです。例えば、夕方になってカルテを書く時は、ちょっとひと息ついた瞬間でもあろうかと思われます。中途採用されたばかりということもあって、そうした時に何をすべきかという点が曖昧になり、脈絡のない言動に陥っている可能性があります。
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