厚生労働省はこのほど、「介護現場におけるハラスメント対策マニュアル」を公表した。介護サービスは、単身で利用者宅を訪問したり、利用者の身体に触れたりする場面が多く、職員に女性の割合が多いことなどから、訪問介護員がハラスメント被害に遭うリスクが高い。対策マニュアルでは、事業所が具体的に取り組むべきことを整理して、実践事例を紹介した。【齋藤栄子】
対策マニュアルは、2018年度厚生労働省老人保健健康増進等事業の一つとして、三菱総合研究所が作成した。有識者による「介護現場におけるハラスメントに関する調査研究」委員会の下、実態調査などの結果を踏まえて対策マニュアルとして整理された。
マニュアル作成に当たり、ハラスメントの定義は以下とした=表1=。
表1 「ハラスメントの定義」(対策マニュアルより、以下同)※クリックで拡大
調査は、全国の介護サービスを提供している施設・事業所から無作為抽出した1万件を対象に行ったアンケート調査と、委員が推薦した 8 法人を対象にヒアリング調査を実施した。
アンケート調査は、「管理者票」と「職員票」の2種類。ハラスメントの実態や取り組みについて把握している管理者等を対象とした「管理者票」では、▽事業者としてのハラスメントの把握の状況▽ハラスメントの予防のための対策▽発生した場合の対応―などを聞いた。ケアに直接関わる職員を対象とした「職員票」では、▽介護現場におけるハラスメントの実態▽ハラスメントを受けた場合の相談の状況▽事業者への期待―など。2155 施設・事業所、職員1万112 人から回答を得た。
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