2018年12月、外国人労働者の受け入れを拡大する改正入管難民法が成立した。在留資格「特定技能」が新設され、介護分野では向こう5年間で6万人を上限に受け入れを進め、介護施設などで身体介護を中心に業務に従事することになる。介護保険施設はもちろん、療養病院でも雇用が増えるかもしれない。19年4月からのスタートに向け、法務省では全国で説明会を進めているが、制度の概要について整理した。【大戸豊】
■これまでの外国人人材の受け入れはわずか
介護分野での外国人人材の受け入れは、EPA(経済連携協定)を通じたものが知られているだろう。近年では制度も広がり、4月からはルートは4つになる=図=。
図 外国人介護人材受け入れの仕組み クリックで拡大
全国厚生労働関係部局長会議 社会・援護局(2019年1月18日)資料より
EPAでは、インドネシア、フィリピン、ベトナムから介護福祉士を目指す候補者を受け入れ、介護福祉士養成施設などで就労、研修をしながら資格取得を目指す。国家試験に合格し、介護福祉士として働けば、家族(配偶者、子)の帯同が認められ、在留資格更新の回数制限もなくなる。
約10年間で4302人を受け入れ、756人が資格を取得している(18年10月1日時点)。
留学生まで受け入れ対象を広げた形が、17年9月に始まった在留資格「介護」※だ。
留学生として日本に入国し、介護福祉士養成施設で就労、研修を行い、介護福祉士になれば、EPAの場合と同様に、家族の帯同が認められ、在留資格更新の回数制限もなくなる。在留資格「介護」は18年6月末時点で177人となっている。
※介護福祉士を目指すのは同じだが、EPAとは別の枠組み。法務省の省令改正により、「養成施設ルート」以外にも、「実務経験ルート」を通じて、介護福祉士の資格を取得した人にも在留資格「介護」が適用される予定。これに伴い、技能実習制度や特定技能1号を経た人材でも、要件を満たせば、介護福祉士の受験ができるようになる。
さらに、17年11月には技能実習制度に介護が加わった。
EPAと在留資格「介護」の枠組みは、介護福祉士を目指すのが基本だが、技能実習では、「本国への技術移転」が目的とされており、介護福祉士を目指さず、5年を上限に就労し、その後帰国する流れとなっている(家族の帯同も認められていない)。ただし、入国3年後の評価を経た上で、介護福祉士を目指すルートも用意される。合格すれば、在留資格「介護」と同様に、家族の帯同が認められ、在留資格更新の回数制限もなくなる。
技能実習では、受け入れ先の介護施設などが、技能実習生の計画を作り、法務省と厚生労働省が所管する「外国人技能実習機構」から認定を受ける必要がある。18年11月末時点で介護職種における技能実習計画の申請件数は1233件、認定件数は637件※だが、技能実習生全体では約28.5万人が在留しており、介護での受け入れは一部だ。
※入国前の認定数で、全員が日本に入国しているわけではなく、実際に介護現場で技能実習生として働く外国人はこれよりも少ない
(残り1525字 / 全2792字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】
【関連キーワード】