【吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科 准教授 京極真】
Q なぜか朝から機嫌の悪い上司がいます。理由はよく分かりませんが、不機嫌な表情を浮かべて、ちょっとしたことできつく注意してきたり、にらみながら舌打ちしたり、ドアがバンッとなるぐらい強く閉めたりします。この上司との関係に悩んで退職した人もいます。夕方ごろになると機嫌が良いときがありますが、顔色をうかがいながら働くことに疲れてきました。どうしたらよいですか?
しんどい状況だと思いますが、基本はスルーでOKです。それで感情調整したら、解明的コミュニケーションで自分の思考を整理したり、上司との対話を試みたりしましょう。
■基本はスルーでよいです
結論から言うと、基本はスルーでOKです。つまり、上司の機嫌が朝から悪かろうと良かろうと、一切気にしなくてもよいです。
理由は簡単です。上司の機嫌が朝から悪いのは、上司自身の問題であって、あなたの問題ではないからです。上司の感情は上司のものであり、あなたの感情はあなたのものです。そうである以上、上司の機嫌が悪い理由が何であれ、その問題は上司自身に帰属していると考える他ありません。あなたの心があなただけのものであるように、上司の心もまた上司だけのものなのです。
そうはいっても、上司の機嫌が悪い理由が、あなたの言動にあるかもしれないと考えることは可能です。仮にそうだった場合、それでも朝から上司の機嫌が悪いのは、上司の問題だと言えるでしょうか。答えは「イエス」です。だって、上司にはイライラする気持ちをスルーする自由があるわけで、いろいろな選択肢がある中で機嫌を悪くするという対応を選んだのは、他ならぬ上司自身だからです。
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