【吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科 准教授 京極真】
Q 作業療法中に統合失調症のある外来患者さんから「便秘気味でおしっこも出にくい」と相談がありました。薬剤師に相談すると、薬が6剤投与されていて、その中に錐体外路症状が消失しているのに、それに対する薬剤が出ていることが分かりました。薬剤師はポリファーマシー(多剤投与)対策が必要だと判断し、医師に対して作業療法士から生活上の問題を情報提供し、薬剤師から処方提案したところ、医師から「それは分かっているけども、何でもかんでも減らしたらよいというわけではないんですよ! しばらくこのままで経過観察です」といらだった様子で言われました。忙しそうだったので、その場はそれ以上やりとりできませんでした。今後、医師にはどう対応していけばよいですか?
ポリファーマシーにはグレーゾーンな事象が含まれるため意見が対立することがあります。その場合、信念対立解明アプローチの基本を思い返し、目的と状況にフォーカスしたコミュニケーションを行いましょう。
■ポリファーマシーと信念対立
これは、「減薬すべき vs 多剤併用のまま経過観察すべき」という対立構図で、ポリファーマシー(polypharmacy)を巡る信念対立の一例です。信念対立とは意見の相違で生じる確執です。なので、上記のQも本連載で解説している「信念対立解明アプローチ」という哲学的実践論で扱うことができます。
(残り3727字 / 全4331字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】