【千葉大学医学部附属病院 副病院長、病院経営管理学研究センター長、ちば医経塾塾長 井上貴裕】
従来、前立腺悪性腫瘍と腎部分切除にのみ保険適用されていたロボット支援下内視鏡手術が2018年度の診療報酬改定で新たに12の術式に拡大された。ただし、従来の腹腔鏡手術と点数が変わらないため、より高コストであるロボット支援下手術を実施すれば病院の利幅は縮小することになる。ただでさえ、財務状況が悪い急性期病院がこの手術に乗り出すことになれば、さらなる業績悪化という危険性があるのも事実だ。
点数が従来の腹腔鏡手術と同じになったのは、既存技術との優越性についての科学的根拠を示すことが現時点では困難という理由からだが、関係学会から強い要望があり、内視鏡の操作性の高さに加え、患者にとっての治療法の選択肢を広げるという観点から保険適用となった。
ただし、施設基準の届け出のためには常勤医師が一定の症例数を経験することが求められた。保険収載された手術を自費で受ける患者は稀だと考えられ、この取り扱いも含めロボット支援下手術をどう考えていくかは今後の急性期医療の未来に影響を及ぼす重要な論点の1つである。今回は、当該手術にどう向き合うべきかについて私見を交えて論じていく。
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