【株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■外来か入院か、経営的に判断の難しい化学療法の選択
がん患者に対する化学療法は、選択するレジメンや患者の病態に応じて、外来で実施すべきか入院で実施すべきか判断されるものである。故に「外来だから良い。入院だから悪い」といった単純な決め付けはできない。ただし、外来・入院の選択には、診療報酬上で多少なりとも有利・不利が生じるため、経営的な判断が求められていることも事実である。昨今の病床高回転化により、病床利用率が低下していることは、病院経営にとって深刻な問題となっている。このような環境下で、外来で化学療法が実施できる患者でも、患者の希望などに配慮した上で、入院の選択をする病院もあると認識している。
そこでナショナルデータベースなどの数値から、化学療法の外来化の状況と地域的な差異を見ることで、病院経営における化学療法の方向性について考えてみる。
■年々増える化学療法の実施件数
外来化学療法加算の算定件数は、年々増えている=グラフ1=。2014年と15年は一時的に減少しているが、これは診療報酬改定による外来化学療法加算の対象見直し=図1=の影響によるものと理解している。
グラフ1 外来化学療法加算算定件数の推移
厚生労働省 社会医療診療行為別統計を基に作成。2002-12年は中央社会保険医療協議会総会資料(13年11月15日)の数値を引用
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