【吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科 准教授 京極真】
Q 話し合えば話し合うほど、分かり合えない人がいます。多職種連携は共通目標がカナメになると思いますが、いくら話し合ってもそれが見いだせないのです。最近はもう諦めムードになっちゃって、チームで何とかしようと思わなくなりました。それでいいですよね?
そういうときは、無理に話し合って解決しようとすると、返ってこじれがちです。なので、話し合いによって信念対立を解決しようとせず、“メタ”な意見を出して、前に進んでいるかのような雰囲気をつくり、自分も相手も共通目標に気づきやすくなる状態を整えましょう。
■共通の土台があるかのように振る舞う
とても難しい問題ですが、それでいいわけではないです。優良な多職種連携は、収益の改善、死亡率の減少、治療成績の向上、職業性ストレスの減少など、患者、医療者、チーム・組織にとって良いことだらけですが、不良な多職種連携はその逆のアウトカムをもたらします。そうなったら、かかわる全員にとって不幸です。なので、「話し合えば話し合うほど、分かり合えない」からと、多職種連携を少しでも良くしようとする努力を諦めることは避けた方がよいです。
では、話し合えば話し合うほど分かり合えない、という状態を脱するにはどうしたらよいか。
結論から言うと、さらなる話し合いによって意見のズレを解決しようとせず、
•「私たちの意見は、ぜんぜん違うようにみえても、実際のところ大きな方向性は一緒ですね」
•「何だかんだ言っても、目指しているところは同じですから」
•「見かけ上は意見が対立しているけども、根本のところでは想いはひとつですね」
などと事あるごとに言ってしまいましょう。多少強引でも、共通の土台があるかのような状態を作ってしまうのです。
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次回配信は4月6日5:00の予定です
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