【社会医療法人博進会南部病院 理事長 小笠原和人】
当院は青森県の県南に位置する南部町にある地域に密着した急性期病院です。
1973年に19床の有床診療所として開設され、その後増床に伴い82年に医療法人博進会南部病院となりました。2008年には社会医療法人の認定を受け、2次救急医療機関として地域医療を担っています。
「患者さんとの心のふれあいを大切に」を基本理念とし、開設当初から「まず診る、そして必要に応じて専門の施設に送る」といったゲートキーパー、ゲートオープナーとしての役割を果たすべく、地域医療に貢献できるようまい進しています。
病床数は60床(一般40床、地域包括ケア病床20床)で内科、外科、整形外科、眼科、麻酔科、リハビリテーション科を標榜しています。主に整形外科疾患の患者が多く、手術も年間300件程度行っており、周辺30キロ圏内の整形外科疾患患者を受け入れています。
南部町は人口約1万9000人の過疎化が進む地域であり、高齢化率も35%を超えています。最寄りの新幹線の駅や高速道路の入り口までは車で30分以上かかり、非常に利便性の悪い地域になります=図1、2=。
(図1)アクセス (図2)病院周辺の風景
また、青森県は県外転出超過率(13年時点)が全国1位で、特に18歳から22歳までの若者が地元を離れてしまう傾向にあります。そういった状況もあって、医師、看護師をはじめ、有資格者の確保が困難を極めています。私がこの地域で医療を行ってきて最も痛切に感じるのは、「地域急性期医療を継続していくための最大の課題は人材の確保である」ということです。もちろん、人を集めるだけで満足して「質」をないがしろにしては、その医療機関に未来はないと思います。ただ、「質」を高めることに重きを置くと、職員に負担を掛け、離職につながる、といった大きな矛盾に直面します。このような問題を解決すべく、当院ではさまざまな方法で人材確保と職員教育に力を入れてきており、その試みなくして現在の姿はないと言っても過言ではありません。
ここで当院が行ってきた幾つかの方策を紹介したいと思います。
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次回配信は2月16日5:00の予定です
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