【吉備国際大学 保健医療福祉学部 作業療法学科准教授 京極真】
Q 上司は日ごろから「気付いたことがあったら言ってくれ」と言う割りには、部下の私が意見を伝えると、「それは人それぞれだよ」「気にし過ぎ」「大したことじゃない」と言ってきます。その後、しばらく目を合わせてくれなかったり、疲れたような雰囲気を出したり、ちょっと避けるような態度を取ったりします。意見は言い続けるべきだと思うのですが、それでいいのでしょうか?
基本対応は、(1)「べき」とは考えない(2)関心の所在を把握する(3)関心に焦点化した意見を言う-です。
■肩のチカラを抜こう
意見を言うことは大切です。多職種連携の生命線は、円滑なコミュニケーションです。コミュニケーション技法の一つに「沈黙」がありますが、それは既にコミュニケーションのやりとりができていることが大前提です。意見の一つや二つも言えずに沈黙していたら、そこに存在していないのと同じです。だから、「意見を言い続ける」という視点は持ち続けてください。
しかし、意見を言い続ける「べき」かどうかは状況によって変わります。「べき」というのは義務です。義務とは、従わなければならないルールです。「べき」には一定の拘束力があるので、「意見を言い続けるべき」と思い続けていると、ミスコミュニケーションが生じやすくなります。意見を言うべきだと思い過ぎていると、言わなくてもいいことを言っちゃったり、熟慮が必要なケースなのに、軽はずみなこと言ってしまったりするからです。
また、このケースのように“ドン引き”されるような場合、押せば押すほど、さらに相手から引かれます。心の中で「また始まった」「それないわー」と思われると、意見を言っても、相手の耳から先に声が届きません。相手の心が閉じているので、あなたの言葉が相手の思考や感情に関わっていくことができません。多職種連携は円滑なコミュニケーションが必要ですので、“ドン引き”される関係は困ります。
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