【医療法人大誠会内田病院 法人本部長 内田智久】
慢性期の病院で働くようになって最も感じたのは、急性期病院のような慌ただしさがないことである。救急車のサイレンや、廊下を移動するストレッチャー、さらには外線電話などが、急性期病院に比べると明らかに少なく、時間の流れ自体が緩やかに感じられた。だからといって、強力に推し進められる医療政策や、経営環境の厳しさと無縁なわけではもちろんない。
今回、地域医療という観点から見た慢性期病院の実態を紹介する。
連載の初回に、地域医療構想を軸に進められる医療政策の中で、急性期医療は限られた病床を奪い合う“いす取りゲーム”のように感じられ、一方で慢性期医療は、明確な評価指標を確立していないところに魅力を感じたと述べた。しかし地域医療構想のしわ寄せは、慢性期医療にも確実に影響している。実際に、当院が所在する沼田医療圏における病床機能分類別の病床数を見ると、図のようになる。
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