医師少数地域を可視化したり、インセンティブを与えたりして偏在の解消を図る―。厚生労働省が医師偏在対策を相次ぎ打ち出している。医師派遣のシステムの整備や優遇措置で対応する「ソフト路線」を主軸に据え、診療所の開業制限といった「ハード路線」を当面は取らない見通しだ。医師偏在の度合いを示す指標の設定に加え、医師がモチベーションを持って地方(医師少数区域)で働くことができるように、インセンティブを与える方向性を提示。これが実現した場合、「全国での医師偏在解消につながる」としている。対策の方向性を探った。【新井哉】
■対策を策定していない自治体も
今後、実現する可能性の高い医師偏在対策として、▽「医師確保計画」の策定▽医学部における地元出身者枠の拡充、他県での地域枠の特例▽新専門医制度における行政の役割の明確化▽診療科ごとの医師のニーズの明示―などが挙げられる。
この中で、最も効果がありそうなのが、「医師確保計画」の策定だ。厚労省は、なぜこれを打ち出したのか。都道府県によっては、実効的な地域医療対策を策定していなかったり、医療計画で具体的な対策が未策定だったりしているケースがあるからだ。
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