(2017年11月15日に配信した記事の再掲です。内容などは掲載当時のものとなります)
【株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■療養病床の入院受療率は西高東低
厚生労働省の「地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会」で示された通り、療養病床の高齢化の度合い等を調整した入院受療率は、高知県を筆頭に西日本が高くなっている=グラフ1=。
グラフ1 療養病床の都道府県別の入院受療率
第8回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会(2015年2月12日)の資料より引用(青枠は筆者が追記)
グラフ2 長期療養、介護系施設の65歳以上人口当たりの病床・定員数
第8回地域医療構想策定ガイドライン等に関する検討会(2015年2月12日)の資料より引用(青枠は筆者が追記)
高知県は65歳以上人口に対する療養病床の数が多い。一方、介護老人保健施設や介護老人福祉施設、有料老人ホームがあまり多くない。そのため、長期療養・介護系施設の定員数で比較すれば、高知県が突出しているわけではない=グラフ2=。ただし、療養病床は2025年もしくは30年を目指し、入院受療率を全国中央値まで低減させ、地域差を縮小することが地域医療構想で計画されている(高知県の場合、入院受療率の達成年次を25年から30年とする特例を適用して推計)。また、17年度末には、介護療養病床の廃止、ならびに看護配置25対1の療養病棟入院基本料2の経過措置が終了する予定である。
建物等のハード的な環境整備や人材の採用・育成は一朝一夕で変えることはできない。また、現時点では、ベッドに患者が入院している以上、病床を減らすなどの対策も取りにくく、環境を変えることは非常に難しいと言えるが、「療養病床で患者を看ることは文化だ」という高知県において、どのような変化が起きているか、療養病床を中心に病床機能報告のデータで検証した。
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