厚生労働省の「医療従事者の需給に関する検討会・医師需給分科会」は8日、既に充足している診療科を想定して無床診療所の新規開設を制限する新たな枠組みをめぐり意見交換したが、こうした仕組みへの賛否両論があり、着地点を見いだせなかった。同省では、早期に実現させるには課題が多いとの認識を示している。【兼松昭夫】
分科会では、対応済みのものも含む14通りの対策をめぐる話し合いをこの日に一巡させた。これを受けて厚労省は、月内に予定している次の会合で報告書の骨子案を提示する。同省は、関連法の改正案を来年の通常国会に提出する方針で、議論は大詰めの段階に入った。特定の地域や診療科への医師偏在の解消につなげるため、どこまで踏み込めるかが焦点になる。
新たな枠組みは、医師の偏在が将来も続くなら、充足済みの診療科の診療所の開設を制限するという、新規開業のいわゆる「自由標榜」に切り込む内容。仮に実現すれば、過剰な診療科を新規開業しても保険診療自体を行えなくなる。それだけに厚労省では、「病床過剰地域」での新規整備を制限する「基準病床数制度」よりも一段強い規制と位置付けており、医師偏在解消の強力なツールになり得る。
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