【虎の門病院事務部次長 北澤将】
■教育と教養
前回、仕事を通じて若手職員に成功体験を用意する必要を申し上げた。心ある若手ならば仕事の本当の楽しみに接した後、さらに仕事を充実させるには「勉強」が必要だと気付いてくれるだろう。そんな気付きの機会に接した後は、自らで勉強を進めてもらうほかはない。なぜなら、実際の教育には時間と労力が必要だからである。高校野球でよく「名伯楽」と呼ばれる監督がいるが、監督は教育が専門で、多くは専従者である。一方、病院や一般企業の社員には、日々の仕事があり、教育を専らにすることはできない。従って教育のほとんどはOJT形式にとどまる。人数の多い看護師を対象とした教育部門を設置する病院はあるが、事務職員を専らに教育する部門の設置は難しい。また各医療団体が開催する研修会は、病院運営の要点がまとめられた有益なものだが、あくまでも受講後に本人が自主学習することが前提である。すなわち病院は勉強のきっかけを与え、後は本人次第になる。
このように職場が提供する学習機会は「教育」であって、「教育」の目的は病院事務職員として生きていくための最低限の武器を与えることだ。しかし読者の皆様が一層の成長を期待する若手は病院コア職員であり、コア職員は、病院をより良くするための発想の材料となる情報=すなわち「教養」を身に付けるよう努めなければならない。そのためには、昨今聞こえてくる「教えてもらっていない」といった主張とは真逆の自主学習しかない。
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