【株式会社To Doビズ代表取締役 篠塚功】
■はじめに
これまで、病院での働き方を変えるための2つの政策(労働政策と人材政策)と、その中でも長時間労働を是正する方策を考えました。最終回には、経営環境が厳しくなっていく病院にとって最も難しい「賃金引き上げ」を考えます。
■職員一人一人の生産性の向上と賃金の引き上げ
2016年4月から、地方公共団体などで人事評価制度の導入が義務付けられました。これは労働力人口が減っていく中で、職員一人一人の生産性を上げ、行政サービスを低下させないための方策といえます。また、人事評価制度の導入が労働生産性を向上させるという考えが一般的に広まっている証左ともいえそうです。人事評価などされなくても意欲的に働ける人はたくさんいますが、評価されることでより意欲的に働ける人がいるのも事実です。さらに、賃金が引き上げられれば、より効果的ということになります。このような動機付けを「外発的動機付け」といいます。国が企業に求める「賃金引き上げと労働生産性の向上」を実現するためには、人事評価制度の導入が一つのポイントになるでしょう。裏を返せば、労働生産性が向上しなければ、賃金の引き上げは困難です。
筆者は、この労働生産性の向上と賃金制度をリンクさせた「新しい形の賃金表」を考え、今後経営が厳しくなる病院に適した賃金制度として提案しています。この賃金表を「ポイント制範囲給表」と呼んでいます。
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