【千葉大学医学部附属病院 副病院長・病院長企画室長・特任教授 井上貴裕】
医師の働き方改革の必要性が叫ばれる今日、医師事務作業補助体制加算は今後も病院勤務医の負担軽減に向けて期待を集めることだろう。医師がプロフェッショナリズムを快く発揮するためにも、院内の役割分担を進め、医師にしかできない仕事に医師が集中することは望ましい。グラフに示すように、この加算の届け出病院数は増加を続けてきた。緊急入院患者数などが要件とされるが、そのような要件を満たす病院の多くは既に届け出ているため、近年は頭打ちになってきたのかもしれない。ただし、2016年度診療報酬改定では、特定機能病院にも加算1の届け出を容認したことから、さらなる増加があるはずだ。出来高算定のケースでは入院初日に、DPC/PDPSでは機能評価係数Iとして人件費部分の一定割合が支払われることから、雇用促進に貢献したことも事実だろう。
加算の効果は検証済みで、マクロ的に見れば果たした役割は大きい。しかし、個別の医療機関では「報酬が付いているから配置しているだけ」といったケースも少なくない。もちろん担当者のマインドやスキルによるところもあり、だからこそ一定の研修が求められている。ただ、新設から10年目で、成熟した加算であるからこそ、これからの継続や発展のためにいま一度考えなければならない事項も存在すると感じている。
今回は、医師事務作業補助体制加算のこれからの在り方について私見を交えて取り上げる。
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次回配信は11月13日5:00の予定です
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