【社会福祉法人恩賜財団済生会支部 福岡県済生会福岡総合病院 事務次長兼人材開発室長 石橋和明、経営分析室長 田中健一】
■経営層と現場をつなぐ
当院ではここ数年間、経営的視点から院内改革(取り組み)を行ってきたが、一筋縄ではいかないことも多い。「経営層」が経営の安定化を重視するのに対し、「現場職員」は患者やその家族、そして一緒に働く職員の思いを重視する。院内改革のとらえ方が違うのは当然だ。医療業界では、環境が急速に変化しているが、経営層と現場職員のギャップは思いのほか大きい。さまざまな改革を円滑に実行するには、経営層と現場の意思をつなぎ、組織力を高めていくことが鍵となる。
■経営感覚を持った人材の育成
組織力を高めるために力を入れているのが「人材育成」である。当院では、マネジメントシステムとしてBSC(バランストスコアカード)を用いているが、2017年度の重要成功要因には「経営感覚を持った人材の育成」を掲げた。経営感覚を持つ、というのは重要だが極めて難しいことでもある。経営を意識する機会の少ない現場職員にはなおさらだ。当院では運営会議(経営会議)の資料や議事録は全職員が閲覧可能だが、残念ながら自ら興味を持って閲覧する職員は限られる。
膨大な業務を抱えてはいるものの、経営に関心を持ち、自ら考え、参加していく。こうした姿勢が、院内改革への大きな推進力になると考えた。そのためにも、まずは病院のBSCそのものを理解してもらい、収支状況を踏まえた上でのさまざまな戦略と、戦略が意図するところを浸透させることが目標となった。
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