【社会福祉法人恩賜財団済生会支部 福岡県済生会福岡総合病院 経営分析室室長 田中健一】
■はじめに
福岡市にある当院は、福岡地区の3次救急医療機関、地域医療支援病院、地域がん診療拠点病院として、救急患者、紹介患者を受け入れ、高度専門医療を積極的に推進している。市内には2つの大学病院と複数の基幹病院が点在し、医療資源が豊富な一方で、激戦区と呼ばれている地域である。
急性期病院は近年、7対1入院病床の要件見直しなど、目まぐるしい変化にさらされている。さらに、複雑化する医療への対応や専門性を追求するために、より多くのマンパワーが必要とされ、医学の進歩に伴い診療材料や医薬品費も増大している。費用の構成が大きく変わる中、増収しても減益になりかねない状況下で、各医療機関には医療と経営の両方で質向上が求められている。
今回は「経営の質」向上にスポットを当て、当院のこれまでの取り組み、そしてこれからの人材育成について述べたい。
■経営分析室の設立
医療分野のデータ整備が進み、DPCデータや電子カルテデータなどを経営分析に活用する動きは加速している。当院では、データ分析などを通じて、病院経営を取り巻く環境変化に対応すべく、2013年8月に「経営分析室」を設立した。事務職員の専門知識を横断的に活用することを目的とした病院長直轄部署だ。立ち上げに当たり、病院長は管理職以外からメンバーを選び、専従者と医事課、経理課、情報システム室(SE)からの兼任者の5人体制でスタートした。活動は、主に経営判断のサポートを役割とした院内データの整備と抽出、外部環境の情報収集から始めた。
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次回配信は10月27日5:00の予定です
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