【千葉大学医学部附属病院 副病院長・病院長企画室長・特任教授 井上貴裕】
中央社会保険医療協議会(中医協)の「入院医療等の調査・評価分科会」などでは「重症度、医療・看護必要度」(看護必要度)の測定を簡便化するためにEFファイルを活用することが検討されている。看護師はベッドサイドでやるべき仕事が多く、負担軽減のためにEFファイルを用いることは間違った発想ではないし、推進すべきである。しかし、EFファイルが単なる診療報酬行為明細情報であるならば、難しい問題をはらんでいる。なおかつ、DPC/PDPSの対象病院にはさらに困難な問題がある。
今回はEFファイルをどう考えるかを取り上げていきたい。
■医療提供の実態を明らかにする趣旨で入力する病院も
EFファイルには出来高換算明細情報が記載されており、DPC対象病院であろうと出来高算定病院であろうと、同じ基準で作成されることが前提とされている。さらに、現場の実態がここに反映されているという幻想もある。わが国の入院医療の診療報酬は、出来高から包括へと移行してきたが、EFファイルは出来高の時代の発想で作成することが前提となっているように思える。
実際、2017年度の「DPC導入の影響評価に係る調査」実施説明資料には、「DPC対象病院におけるEファイル、Fファイルは医科点数表に準じて計算した点数(出来高換算した点数)にて作成すること」との記載がある。
ただ、各医療機関の解釈はさまざまであり、単純ではない。出来高算定ルールに則ってDPCデータを作成している医療機関もあれば、医療提供の実態を明らかにする趣旨でデータを作成している所もある。多くは前者だと考えられるが、既に出来高時代を知らない医事課職員も少なくないし、包括範囲でそもそも出来高算定できないものを適切に算定しているのかといった疑問もある。包括範囲であれば査定されることはなく、出来高算定ルールとは異なるオーダーが行われ、そのデータが消去されていないことも少なくない。
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次回配信は10月16日5:00の予定です
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