中央社会保険医療協議会(中医協)の「入院医療等の調査・評価分科会」は15日の会合で、検討結果の中間取りまとめを大筋で固めた。昨年度の診療報酬改定が医療現場に与えた影響を調べたもので、一般病棟入院基本料の7対1を届け出る急性期の病棟では、入院患者に占める重症者の割合が前年度と比べ9.6ポイント上がった。一方、入院患者の3割弱は重症度が「0点」で、委員からは、より詳しい患者像の分析を求める意見や、手術前日に入院するケースなどへの配慮を求める意見が挙がった。【佐藤貴彦】
分科会では、この日の委員の意見を反映させた中間取りまとめを、中医協の診療報酬基本問題小委員会に月内にも報告する。これを受けて中医協総会が、来年春の診療報酬改定に向けて入院医療をめぐる話し合いを本格化させる。
■手術の前日入院や内科系の重症者に配慮?
分科会が行った病院ごとの調査では、7対1を届け出る病棟の入院患者に占める重症者の割合(昨年8-10月)は平均28.8%で、前年同期(19.2%)を上回った。
一方、患者単位の調査では、入院患者の24.6%が重症者の定義に当てはまった。
現行ルールでは、行った処置などの状況をA得点、必要とする介助の状況をB得点、手術などの実施状況をC得点としてそれぞれ看護職員らが評価し、その結果が「A2点以上かつB3点以上」といった条件を満たせば重症者と見なす。調査では、重症者と見なされない「非該当患者」の36%はA・B・Cの全得点がゼロだった=グラフ1=。
15日の会合に厚労省が示した中間取りまとめ案では、「非該当患者」が約75%いたことなどを盛り込んだが、本多伸行委員(健康保険組合連合会理事)は、0点の患者がその一部を占めたことや、0点の場合の患者像を掘り下げて分析する方向性を追記すべきだと主張した。
これに対し、神野正博委員(董仙会理事長)と牧野憲一委員(旭川赤十字病院院長)は、全身麻酔手術の前日に入院するケースや、家に帰れる状態になってから家族らの都合で数日入院するケースもあると理解を求めた。
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