【山崎祥光(御堂筋法律事務所)弁護士、医師】
1.個人情報保護法改正の概要とスケジュール
個人情報保護の世界基準への対応や、個人情報保護の強化のため、個人情報の保護に関する法律(個人情報保護法)が改正され、5月30日に全面施行されます。個人情報保護法改正に合わせて医療・介護分野のガイドラインも変更され、これまでの「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイドライン」(医療・介護個人情報ガイドライン)に替えて、「医療・介護関係事業者における個人情報の適切な取扱いのためのガイダンス」(医療・介護個人情報ガイダンス)が個人情報保護委員会および厚生労働省から4月14日に正式に発表されました。
https://www.ppc.go.jp/files/pdf/iryoukaigo_guidance.pdf
2.医療・介護分野に影響する変更点と医療・介護個人情報ガイダンスでの影響緩和
改正個人情報保護法では、以下のように大きな変更が加えられ、基本的な考え方自体が変わって規制が強化されました。しかし、「要配慮個人情報」を日常的に取り扱う医療・介護分野にこのような規制を形式的にそのまま適用すると、臨床業務に支障が出て患者・利用者に悪影響が出ることが予想されます。
このため、医療・介護個人情報ガイダンスにおいては改正個人情報保護法により強化された規制が緩和され、多くの範囲ではこれまで通りの取り扱いで認められることとなりました。
(1) 小規模事業者でもすべて対象に
これまでは、個人情報の取扱件数が5000人分以下の小規模事業者は、個人情報保護法の対象外でした。診療所や介護事業者の中には、この小規模事業者に該当し、個人情報保護法の対象ではなかったところも相当数あったと考えられます。しかし、今回の改正で、医療機関・介護事業者は規模にかかわらず、基本的にすべて個人情報保護法の対象となりました。特に、これまで小規模事業者であった医療機関・介護事業者においては、個人情報の取扱規程や、安全管理措置が十分かどうか、確認が必要です。
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