【医療法人青心会郡山青藍病院 常務理事 野中俊英】
■戦略的マーケティング戦術とは
今回は、病院の「戦略的マーケティング戦術」を取り上げます。ここでは、「マーケティング戦略を基に、増患につなげるための具体的な施策」といった意味でとらえてください。差別化と患者獲得には、まずはターゲット患者を絞り、しっかりとポジショニングを検討する必要があります。
■「救急搬送」と「紹介・外来」に分けて考える
マーケティングのポイントは「傷病により戦術は変わる!」ことです。このような分析には、厚生労働省のデータを活用できます※。
神経疾患の例で説明します(2014年度のデータを基に集計)。表1は、傷病ごとの入院経路を示しています(数値は年間退院患者数)。ちなみに、エクセルの条件付き書式を使って前年度比での増減を示すと見やすくなります(緑、黄、赤の矢印)。
入院経路を「救急搬送」と「紹介・外来」に分けてみてください。緊急性が高い傷病の場合、救急搬送による入院が目立ちますが、それと比べると、外来や紹介では、緊急性の低い疾病が多くなります。緊急性が低ければ、患者も病院を選べますが、緊急性が高ければ、病院を選ぶのは困難です。マーケティングの戦略や戦術は、診療科単位ではなく、傷病別に立てる必要があるのも、そのような理由からです。
※2016年度第4回 診療報酬調査専門組織・DPC評価分科会(6)診断群分類毎の集計など http://www.mhlw.go.jp/stf/shingi2/0000150723.html
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