【株式会社メディチュア代表取締役 渡辺優】
■病床マネジメントの高度化が求められる背景
前回、データで示した通り=グラフ1=、急性期病床では病床の高回転化が進んでいる。高回転化が進めば1床当たりの入退院数は多くなり、必然的に「ベッドを埋める」病床マネジメントが難しくなる。当然ながら、予定入院中心の病院と救急搬送・予定外入院中心の病院では、病床マネジメントの難易度はまったく異なる。しかし、いずれの病院でも、高回転化はマネジメントの難易度を上げることを意味する。
グラフ1 DPC算定病床数ごとの病床回転率(DPC算定病床数1床当たりの年間入院患者数)の推移
※DPC算定病床数は2016年度施設概要表の数値、年間入院患者数は各病院の値を合算。ただし未報告年度がある場合は次年度の数値で代用
DPC公開データ(2016年度公表、2015年度実績)を基に作成
近年は、特に「重症度、医療・看護必要度」(以下、看護必要度)等、入院料算定要件の厳格化が進むなど、病床を埋めることと同時に、さまざまな指標を満たすことが求められている。このような病床マネジメント手法の進化に伴い、ベッドコントローラーの人材確保・育成、およびマネジメントの根拠となるデータ管理の重要性が高まっている。
■稼働率のみのシンプルな管理手法の利点と限界
かつて、急性期病院では、病床稼働率さえ高く維持していれば、ある程度利益が確保できた時代があった。そのころは稼働率最優先でベッドコントロールを行っていた(第1世代)。入院加療の要否が判断の絶対的な基準になることは当然だが、ベッドが空きそうになれば、退院できそうな患者であっても少し退院を延ばし、一方ベッドが足らなくなれば退院できる患者に退院してもらうことで、稼働率を維持してきた。
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次回配信は4月26日5:00を予定しています
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