日本慢性期医療協会(日慢協)の武久洋三会長は8日、慢性期機能を担ってきた病院が地域で勝ち残るための戦略をテーマに東京都内で講演した。この中で、慢性期機能を担う病院が、入院患者を確保するためのルートや、果たす役割を見直す必要性を指摘した。【佐藤貴彦】
■急性期からの転院だけでは患者確保厳しく
武久会長は、日慢協の第5回経営対策講座で登壇し、「よそからの患者紹介に頼っていた(慢性期)病院は厳しくなる」と強調。その理由として人口の減少や、急性期病院の多機能化を挙げた。多機能化は、これまで急性期機能だけを担ってきた病院が、地域包括ケア病棟などを開設し、回復期機能や慢性期機能まで担うようになることを指す。
武久会長は、公立を含む多くの急性期病院で、こうした機能の見直しが急速に進んでいると指摘。「地域の中の医療機能の“大移動”が起こってきている。われわれの所に来ていた患者さんが急激に、予想より早く(来なくなる)」と警鐘を鳴らした。
その上で、今後は複数のルートでバランスよく患者を確保すべきだと主張した。具体的には、▽広域で急性期機能を担う「高度急性期病院」からの転院▽自院と同じグループの施設の入所者が急変した際の入院▽外来患者や在宅患者が急変した際の入院-の各ルートで、それぞれ入院患者を確保する「3分立方式」を推奨。すぐに対策を講じるよう呼び掛けた。
(残り830字 / 全1416字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】