【豊田地域医療センター 在宅医療支援センター在宅支援課長補佐 鈴木重良】
新たに立ち上げた在宅部門を軌道に乗せるための病院事務職員の役割について、前回、大きく3つのポイントを示しました。
役割1)患者紹介ルートの確立
役割2)薬局との連携体制の構築
役割3)訪問診療の標準化
今回は、「役割2)薬局との連携体制の構築」「役割3)訪問診療の標準化」について、当院の取り組みを基に取り上げたいと思います。
■重要パートナー、薬局との連携は不可欠
当院が在宅医療を提供する上で、肝の一つになるのが薬局との連携体制です。
24時間365日対応する訪問診療にとって、まるで院内にあるかのようにスムーズに連携できる院外薬局は重要なパートナーです。特に医療依存度の高い患者の診療には、無菌調剤や緊急性の高い薬剤の提供などが求められ、在宅医療になくてはならない存在です。
当院では、地区薬剤師会の協力を得て、在宅医療のサービス提供が可能な薬局5事業所との連携体制を構築しました。
【在宅医療における薬剤師の役割】
・無菌調剤・無菌製剤をはじめとした医薬品・衛生材料等の患者宅への供給
・服薬指導と管理
・副作用のモニタリング
・在宅担当医に対する処方支援
・訪問看護師、ケアマネジャーらとの連携・情報共有
・カンファレンス参加
-など
連携の流れ(例):
▽当院の訪問診療チームが患者宅を訪問。点滴を処方し、薬局にオーダーする
▽薬局は薬剤のほか、処方箋に記載のないサーフロー針・アルコール綿・その他材料など必要物品も合わせて患者宅に配送するとともに、患者・家族に服薬指導や薬剤管理を行う。また、連携している訪問看護ステーションが同じタイミングで患者宅に訪問、点滴を開始できるように薬局側から連携を図る
▽薬局の訪問後、「薬学的管理指導計画書」「居宅療養管理指導報告書」の報告があり、患者さん情報を共有する
▽払い出した材料等の物品は月次で集計され、当院に請求される
■支援業務の標準化で、医師のパフォーマンスを上げろ
当院では、医療スタッフのパフォーマンスを上げるために事務スタッフが訪問診療を支援する業務を以下の4つのテーマに集約しました。これらを”標準化”させることで、事務スタッフがどのタイミングでかかわっても、安定したサービスの提供が可能になります。
1)フロントオフィス業務
2)バックオフィス業務
3)訪問診療同行
4)多職種連携
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