観光立国を目指す政策などに伴い、これまで日本人患者の診療に専念してきた病院にも、外国人患者の受け入れ体制の整備が求められている。このほど都内で開かれたシンポジウムで、外国人患者に対応するときの留意点などをテーマに医療関係者らが話し合った。【佐藤貴彦】
■増え続ける訪日外国人、昨年2千万人超に
日本政府観光局(JNTO)の推計によると、昨年の訪日外国人旅行者(訪日外国人)の数は約2404万人で、前年と比べて400万人超増えた。年間の訪日外国人数の増加は5年連続で、観光立国を目指した施策の効果が伺える。過去最多となる2000万人超は一里塚で、東京五輪・パラリンピックが開催される20年には4000万人、その10年後の30年には6000万人まで増やす目標を掲げている=グラフ1=。
訪日外国人の増加に伴い、求められるのが医療機関側の対応だ。観光庁は昨年3月、訪日外国人を受け入れられる医療機関のリストを作成、医療機関の利用ガイドと併せてJNTOのホームページで公表した。リストには現在、外国語で診療できるといった基準で都道府県が選定した300施設を超える医療機関の情報が載っており、今後、選定状況に合わせてリストを更新する予定だ。
また、病院の医療サービスで訪日外国人を集める取り組みもある。治療のために訪日する外国人患者の支援などを手掛けるメディカル・エクセレンス・ジャパンは今年1月、そうした患者の受け入れに積極的で、受け入れ実績がある病院28施設を、「ジャパン・インターナショナル・ホスピタルズ」(日本国際病院)に認証、専用のウェブサイトを立ち上げて国外への情報発信を開始した。
日本国際病院の特色は、情報発信する診療科を病院側が絞る点にある。複数の診療科を選ぶこともできるが、例えば筑波大附属病院(茨城県つくば市)は陽子線治療のみをアピールしている。
(残り1771字 / 全2545字)
この記事は有料会員限定です。
有料会員になると続きをお読みいただけます。
【関連記事】