このほど開催された東京都病院学会(主催:東京都病院協会)で、都内で病院を経営する4人が「慢性期医療の未来像」をテーマに講演した。この中で、介護療養病床を有する陵北病院(八王子市)の田中裕之院長は、同病床の転換先として来年4月に創設される予定の「介護医療院」をめぐる今後の議論のポイントを挙げ、注目するよう呼び掛けた。【佐藤貴彦】
介護医療院は、長期療養が必要な要介護者に医療や介護、機能訓練などを行うための施設。厚労省が先月、その創設を含む介護保険法の改正案などを国会に提出した。
その基本設計については、社会保障審議会(社保審)の特別部会などが議論してきた経緯がある。同部会が昨年末にまとめた「議論の整理」では、現行の療養機能強化型の介護療養病床のように、経管栄養などの医療処置を要する人らを受け入れるタイプと、容体が比較的安定した人を受け入れるタイプとに機能を分け、それぞれ介護報酬を設定するといった方向性を示した。
また、厚労省が提出した介護保険法などの改正案には、介護医療院が通所リハビリテーションなどの介護サービスを提供できることや、介護医療院への転換を「病床転換助成事業」の対象とすることなどが明記されている=表=。
一方、介護療養病床の設置期限は、2024年3月末まで6年間延期するとしており、介護療養病床を持つ病院の経営者が転換を決断するまでの猶予を与えているといえる。しかし、報酬水準や人員基準などの詳細の検討は、社保審の介護給付費分科会などに委ねられており、判断材料がそろっていないのが現状だ。
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